
趣味でサイクリングを始めるようになったのは、10年ほどまえで、ちょうど梅雨の時期でした。走りに出ても、急に雨になったりして、そういうときは、よく雨宿りをしました。
当時はよく河川敷CRをはしっていたので、雨宿りはもっぱら橋の下でした。スマホでなくガラケーだったので、時間の潰しようがなく、それで雨空をずっと眺めてました。
40過ぎのオッサンが、Tシャツ短パン姿で、橋の下で、ずっと雨空を眺めてました。空を眺めながら「早くやまないかな」「早く走りたいな」なんて、まるで童心にかえったようでした。
いまじゃもう、雨がパラパラくると、スマホで天気予報を確認し、近くの喫茶店を検索し、そこでお茶をしながら雨をやり過ごして、そつがありません。でも、サイクリングを初めたばかりのあのころ、ずっと雨空を見上げていたあの時間は、妙に印象的で、喫茶店でスマホをみてるより価値があったような気がして、それで今でもときどき思い出します。
(おしまい)