サイクルツーリズム…?

サイクルツーリズムという言葉を、このごろ見かけるようになりました。サイクリングを観光にやくだてよう、という趣旨だそうです。耳慣れない言葉でしたので、どこかの業界が作ったマーケティングワードかと思ったら、国交省のHPにも「サイクルツーリズムを推進して日本を観光立国へ」とあります。つまり、国としてサイクルツーリズムを推進するぞ~、ということですね。ちなみに、根拠となる法律もあります。

自転車活用推進法

第八条 自転車の活用の推進に関して、重点的に検討され、及び実施されるべき施策は、次に掲げるとおりとする。

(略)
十四 自転車を活用した取組であって、国内外からの観光旅客の来訪の促進観光地の魅力の増進その他の地域の活性化に資するものに対する支援

法律まで作ってるってことは、ガチですね。「サイクルツーリズムで観光立国へ」は国の方針です‼

でも、、、
なんか、しっくりこないなぁ。
サイクルツーリズムという言葉に、居心地の悪さがあるというか…。

サイクリストという人達

サイクリストの性質についてです。

なんで観光せな
あかんの?

ただほっつくだけじゃ
あかんの?

経済まわさな
あかんの?

地域活性化せな
あかんの?

気持ちいいから乗るじゃ
あかんの?

ってのがサイレントマジョリティじゃないかなぁ😂

自転車乗りって、自由気ままで、マイペースで、浮世離れした人種なので、世俗的な観光地にそれほどかれません。人混みを嫌がる性質もあるので、観光地を避ける習性さえあります。

自転車活用推進法には「観光旅客の来訪の促進、観光地の魅力の増進」とありますが、サイクリストは観光に縁遠い人種なので、サイクリストをターゲットにしても、観光業は儲からないでしょう。

むしろ一般観光客に、レンタサイクルで名所巡りしてもらうほうが、ずっと現実的です。でもそんなの昔からあるわけで、そうすると今度は、サイクルツーリズムなんて言葉をもちだす必要がありません。

サイクルツーリズムという言葉に感じる、居心地の悪さはそこですね。

ツーリズムという意味

一般観光客とサイクリストの嗜好には、大きな違いがあります。

サイクルツーリズムは、この両方を融合させるイメージですが、実は違います。

サイクルツーリズムとは、国交省のHPを見るとわかるのですが、その実態は、サイクリング大会、サイクリングロード、サイクリングルート、サイクルトレインのことです。つまりサイクルツーリズムは、サイクリングと同義です。

サイクリングがサイクルツーリズムという言葉に置き換わると、観光業tourism industryが連想され、広く経済効果が波及するイメージがします。そういうミスリード作用が、この言葉にはあります。

サイクルツーリズムという言葉に感じる、居心地の悪さはそこですね。

自転車という乗物

自転車って、どんな利用がメインなんでしょう。

東京都のHPをもとに作成(LINKLINK

自転車は、日常的な利用がほとんどです。サイクリングで利用する人は、ごく少数です😂

自転車は、おおまかに言えば、日常の乗物です。買物ママ、通勤パパ、通学キッズの乗物です。自転車の環境整備に投資するなら、まずはこの人達のためにしてほしいです。そうすれば、我々サイクリストもその恩恵にあずかれますから。

たとえば地元のカフェにサイクルラックを補助金で設置するにしても、それは地元の人のためであってほしいなと思います。サイクリストが一番喜ぶのは、社会全体がもっと自転車フレンドリーになって、自転車人口が増えることです。

サイクルツーリズムで、サイクリストにフォーカスしていただくのは大変ありがたいです。でも、サイクリストのためだけに何かするのは、サイクリストだってそんなに望んでいない気がしますね。

サイクルツーリズムという言葉に感じる、居心地の悪さはそこですね。

地域という日常

何かのイベント開催で地域活性化させるというのは、なんかしっくりしません。イベントは非日常のことですが、地域の人達は日常を生きているからです。なんか、処方箋が合っていない感じがします。

国交省は、サイクルイベントで地域活性化するかのようなイメージをHPかもしてますが、イベントが大盛況だったとしても、それが地域活性化と言えるのか、よくわかりません。

地域活性化って、本当はもっと地味で、コツコツした努力の積み重ねという気がします。地域という言葉は、日常を生きる地元の人達をイメージさせるからです。その人達の日常のクオリティを上げることに知恵を出すべきで、イベント開催なんかに知恵をだす余裕なんて、ほんとは無いはずなのになぁって思います。

自転車は、日常的にも、非日常的にも利用されます。サイクルツーリズムは非日常、地域活性化は日常的な利用に関係します。なので「サイクルツーリズムで地域活性化」ってのは、筋悪すじわるな感じがしちゃいます。

サイクルツーリズムという言葉に感じる、居心地の悪さはそこですね。

しまなみ海道という事例

サイクルツーリズムの事例として、必ずでてくるのが、しまなみ海道です。

photoAC

海!空!橋!
サイクリングの醍醐味よなぁ😋

ただ、こんなスペシャルな事例をだされても、他所よそでは絶対真似できないわけで…。

ごく例外的な成功例をあげ、あたかも一般化できるかのように錯覚させるのは、ハメ込み商法に似ています。「この商品を使っただけで1か月で10kg痩せました!」みたいな😅

国がサイクルツーリズムを推進したい気持ちはわかります。しまなみ海道を事例にするのもわかります。でもサイクリストの身としては、詐欺の片棒をかつがされてるようで、ソワソワしちゃいます。

サイクルツーリズムという言葉に感じる、居心地の悪さはそこですね。

(おしまい)

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