サイクリングが趣味になって、かれこれもう6~7年経ちます。きっかけは生活の足用に買ったルッククロスでした。乗っているうちに、どんどん走ることが楽しくなって、それでそのまま今に至ります。
でも、それより前、例えば学生の頃も普通に自転車に乗っていたわけで、その頃と今と、何が違うのかな、なんて思ったりします。
学生の頃、私はアパートで一人暮らしをしていました。呑川という川のそばの、狭くて暗いアパートでした。
大学から少し離れたアパートだったので、通学は自転車(ママチャリ)でした。そして時々、通学とは関係なく、呑川沿いを、自転車で走ったりしていました。
それはサイクリングをエンジョイとかではなく、なにかつらい事があったとき、たとえば友人とギクシャクしたとか、片思いだった人が誰かとつきあい始めたとか、そういう時に、呑川を下って昭和島から京浜島に渡り、つばさ公園という公園で、対岸の羽田空港を発着する飛行機を眺めたりしていました。
自分で自分をどう扱って良いかわからなくなった時に自転車で遠出するというのが、私の青春時代の習慣だったように思います。
要するに、あまり明るい、謳歌するような青春ではなかったのですね。それでも当時は、苦しいなりに一生懸命だったような気がします。今となっては何がそんなに苦しかったのか、それさえ思い出せなくなってしまいましたが。
私が趣味=サイクリングを自覚したのは結構なオッサンになってからなのですが、根っこのところは、もとから自転車乗り体質だった気がします。当時は意識していなかっただけで、遅かれ早かれ、サイクリングに魅せられる人種だったんでしょうね。
でも年をとったせいか、あの当時みたいな、自意識に押し潰されそうな感覚はもうありませんね。それどころか、自転車に乗るたびに頭がカラッポになっていくようです。
サイクリングが趣味になって、北はスカイツリー、南は三浦、西は平塚まで走るようになりました。でもなぜか京浜島には行ってません。あの重い記憶がよみがえるのが怖いのか、それとも青春の思い出をそっとしておきたいからなのか、自分でもわかりません。頭カラッポとはいえ、シコリみたいなのが残ってるのかもですね。
(おしまい)